GAG(Galleria Actors Guild)は、アマチュアオペラ制作集団「ガレリア座」で知り合った大津佐知子と北教之が、1996年に結成した劇団です。二人芝居を中心とした少人数の演劇・朗読劇などを不定期に上演し続け、2013年には第十回公演を開催しました。演劇だけでなく、歌曲なども交えたお茶会などを今後も発表し続けていきます。

「悪魔のロベール」終演いたしました!

2015年もいよいよ暮れようとしております。みなさま如何お過ごしでしょうか。

さて、先日来このブログでも宣伝してまいりました、ガレリア座第27回公演「悪魔のロベール」。先日12月20日(日)パルテノン多摩大ホールにて上演、無事終演いたしました。
ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました!

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第二幕、ロベールへの思いを歌う王女イザベル。演じるのは大津。

 

マイアベーアの「悪魔のロベール」がパリで初演されたのは1831年。その前年1830年に、パリでは七月革命がおこり、ブルジョワジーの王とも言われるオルレアン公ルイ・フィリップによる立憲君主制が開始されたばかり。既に経済的に社会を牛耳っていたパリのブルジョワジーが、名実ともに、フランスの支配階級としてわが世を謳歌しはじめたこの時代。そのブルジョワたちの娯楽を支えるために、劇場に流れ込んだ潤沢な資金と、新時代の勢いをそのままに、豪奢な劇場的仕掛けを縦横に駆使したフランスグランドオペラが誕生します。その記念すべき第一作目が、「悪魔のロベール」でした。地獄の合唱、妖艶な尼僧の死霊たちのバレエ、荘厳なオルガン伴奏による合唱、ソリストの超絶技巧が展開される歌唱と、ケレン味たっぷりの物語、そして重厚なオーケストレーション。印象的かつ分かりやすい旋律が数多く盛り込まれ、当時のパリで大人気を博した、というから、当時のパリの街角では、このオペラに出てくる歌がしょっちゅう口ずさまれていたのだろうな、と思います。

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ロベールの友人、実はロベールの父親である悪魔ベルトランは、奸計によって息子ロベールを地獄に引きずり込もうと画策します。演じるのは北。

 

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ベルトランの策略と尼僧の死霊に導かれ、悪魔の魔力を持つ枝を手にするロベール。

 

当時大流行した「悪魔のロベール」へのオマージュは他の音楽作品やミュージカルにも数多くみられます。ショパンは、「マイアベーアは神の領域に達した」と感激し、「チェロとピアノのための『悪魔のロベール』の主題による協奏的大二重楽曲」という大層なタイトルの曲を書いています。なんとなくそういう血沸き肉踊っちゃうオペラなんですね。リストは、「鬼のロベールによる回想」という変奏曲を書きました。また、コルンゴルドの「死の都」のヒロイン、マリエッタという踊り子が出かけるのは、彼女がバレリーナとして出演している「悪魔のロベール」の舞台のリハーサル。「死の都」の中では、マリエッタが「悪魔のロベール」のバレエシーンを実際に演じる場面も挿入されています。また、今もブロードウェイでロングラン上演されている「オペラ座の怪人」では、冒頭のオークションの場面で、「悪魔のロベール」で使われた舞台道具が競売にかけられている、というシーンが出てきます。

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第四幕、意に染まぬ結婚を前に悩む王女イザベルをよそに、結婚を祝う民衆の合唱。

 

このオペラが歴史の中に埋もれ、つい最近まで、本場欧州でもほとんど再演の機会がなかったのは、あまりにも大衆に受け入れられ、大人気を博してしまったこの作品とマイアベーア自身に対して、後世の作曲家が激しく嫉妬したからだ、という説が多く聞かれます。作品の魅力や完成度とは別のところで生まれた、「マイアベーアみたいな大衆受けする音楽を書いてたまるか」という屈折した反発。特にその反発を様々な形で残しているのが、少し時代を下った1850年代のパリを席巻した、オペレッタの王様、オッフェンバック。彼が生きたナポレオン三世第二帝政時代そのものが、ルイ・フィリップ王政時代のアンチテーゼであった、という時代背景もあるのでしょうが、オッフェンバックオペレッタ作品の中には、マイアベーアのパロディと思われる場面や音楽が多数登場します。そうやって罵倒し笑いものにしながら、オッフェンバックはどこかでマイアベーア作品への憧れと敬意を捨てきることができず、彼が死ぬ間際に書いた唯一のオペラ作品「ホフマン物語」には、まさに「悪魔のロベール」のコピーと思えるような男声合唱やクプレが登場します。

オッフェンバックに代表される「悪魔のロベール」への敵視と、屈折した執着は、後世の音楽家にも綿々と受け継がれていきます。グノーの「ファウスト」、ビゼーの「カルメン」、あるいはドイツのウェーバー魔弾の射手」から、ヴェルディの「ドン・カルロ」に至るまで、「悪魔のロベール」が生み出した舞台設定や音楽形式の影響を指摘できる作品は枚挙にいとまがありません。しかし、それだけの影響力を及ぼしながらも、オリジナルの作品自体を蔑視する空気はなかなか消えることはなく、この作品は長く歴史の中に埋もれてきました。やっと最近になって、欧州でもマイアベーアの再評価の流れが生まれつつあり、「悪魔のロベール」も、1985年、本場パリで、当時の豪奢な舞台をそのまま再現したかのようなスペクタクルな舞台が上演され、2012年に英国ロイヤルオペラハウスが上演した舞台もDVD化されています。

しかし、この作品が埋もれたもう一つの理由として、歌い手にもオーケストラにも高度な技巧が要求され、しかも各楽曲が長大であり、演者の負担が相当大きいことがあげられると思います。分かりやすい旋律の裏返しとして、音楽的には単純で若干単調になる側面もあり、決して取っつきやすい作品とはいえません。反復横跳びをひたすら繰り返せ、みたいな演奏が要求される箇所もある。テレビも映画もなかった時代、数少ない贅沢な娯楽としてオペラに熱狂したパリのブルジョワたちは、その豊饒さに狂喜したんでしょうが、現代の我々からするとかなりの忍耐力と体力を要求される。欧州ですらほとんど上演されることのないこの作品は、当然のことながら、日本でもこれまで紹介されたことがありませんでした。

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ロベールの乳兄妹、アリスから、ロベールが悪魔の誘惑に心動かされていることを告げられるイザベル。

 

オッフェンバックの研究家であるガレリア座主宰の八木原良貴氏が、オッフェンバックがその作品の中で頻繁に取り上げている、マイアベーア、という作曲家に興味を持ち、その作品の魅力を再発見し、これを日本初演としてガレリア座で取り上げたい、と言い出した時、団員の誰もが、無数の「?」マークを空中に浮かばせました。「マイアベーアって誰?」「悪魔のロベールって何?」とりあえず正体はよく分からんが、面白そうな作品と言うから取り組んでみるかね、と手を出してしまったのが運の尽き。まさに未踏の雪原をひたすらラッセルを繰り返しながら登っている登山隊のような日々がひたすら続きました。

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王女イザベルという、超高難度のダジリタを要求される役をもらった大津。合唱を従えた大きなフィナーレ曲で聞かせる高音のダジリタだけでなく、物語のクライマックスには、悪魔に心を奪われたロベールに、人間の心を取り戻して欲しいと切々と訴える長いカヴァティーナがあります。ハープとアングレという二つの楽器だけを伴奏楽器として、ロベールの心の氷を溶かしていくこのカヴァティーナは、「悪魔のロベール」の4年後の1835年に作曲された「ランメルモールのルチア」の狂乱の場面での、フルートとソプラノの哀切極まりない歌唱の前触れともいえるかもしれません。日々、それでいいのかと楽譜と会話を続けながら、本番には多くのお客様が「感動した」と声をかけてくださいました。

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どうか、本当のあなたに戻って、と、ハープとアングレとソプラノだけが歌いあげるカヴァティーナ。

 

悪魔ベルトランという、物語の軸になる役をもらった北にとっても、大変な挑戦となりました。未熟な歌唱技術を精一杯背伸びさせて、今まで経験したことのない二重唱でのカデンツァ、アカペラ無伴奏での三重唱、そして、低音はミのフラットから高音はファのシャープまで、二オクターブを超える音域の楽譜をなんとか歌い切りました。

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大団円、悪魔の誘惑を退けたロベールを、救済と母性の合唱が包み込む。

 

年の瀬も押し迫った12月の多摩センターに足を運んでくださったお客様皆様に感謝申し上げると共に、2015年を素晴らしい公演で締めくくらせてくれたガレリア座の共演者の皆さん、スタッフの皆さん全てに感謝です。

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カーテンコール、やり終えた充実感で笑顔の大津と北を、オケピットから団員が撮影してくれました。

 

2015年、大変お世話になりました。そして2016年、GAGの二人の出演舞台が、年明け早々から目白押しです!またこのブログで宣伝周知させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします!みなさま、よいお年をお迎えください!

 

「悪魔のロベール」第二幕の日本初演画像です!

急激に気温が下がり、秋も深まってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?

さて、先日もこのブログでご案内いたしました、12月20日に上演予定のガレリア座公演、マイアベーア作曲「悪魔のロベール」。先週末8日(日)、ガレリア座がいつもお世話になっている、新宿区住吉町社会教育会館で、2幕のみの抜粋上演が開催されました!

悪魔の子ロベールが、愛するシチリア王女イザベルの許を訪れ、その愛を確かめますが、悪魔ベルトランの奸計によって、愛の証しとなるはずの御前試合に出場できなくなる、というのが2幕のお話。長大なロベール(テノール)のアリア、ダジリタを多用したイザベル(ソプラノ)のアリアから、ロッシーニを思わせる二人の二重唱、そして、御前試合の開催を告げる勇ましい合唱、傍らでほくそえむ悪魔ベルトランの独白、と、音楽的にも実に盛りだくさんの幕です。

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王女イザベル(大津が演じます)を合唱が囲む2幕フィナーレ。

住吉町社会教育会館が毎年開催している、「あけぼのフェスタ」という地域文化祭での上演。いつもお世話になっている皆様を前にした、いわば身内向けの上演ではありますが、この音楽が日本で、お客様を前に上演されるのは、これが初めてのこと。音楽の魅力、物語の魅力をしっかり伝えられるよう、団員それぞれに精一杯演じさせていただきました。

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悪魔ベルトランを演じる北と、王女イザベルの大津の2ショットです。

衣装はまだ暫定バージョンで、本番にはまた少し違った味付けが加わるかもしれません。さらにさらにスケールアップして、この歴史的作品の魅力をお伝えするべく、頑張りたいと思います。12月20日(日)、パルテノン多摩で、皆さんをお待ちしております。日本初演の歴史的瞬間を見逃すな!

北の今年最大の挑戦、マイアベーア「悪魔のロベール」チケット販売開始です!

急激に気温が下がってきました。空気も乾燥し、歌い手の皆さんにはちょっとつらい季節がやってきましたが、皆様いかがお過ごしですか?

さて、今回は、以前からこのブログでも予告しておりました、12月20日(日)に上演される、ガレリア座公演「悪魔のロベール」についての告知です。

チラシが完成し、チケット販売が開始されました!

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ガレリア座 第27回公演

G.マイアベーア作曲 歌劇「悪魔のロベール」

(全5幕 日本語訳詞上演/日本初演

2015年12月20日(日)開演13:30(開場13時)

於 多摩市立総合文化施設パルテノン多摩”大ホール

S席3,000円 A席2,500円 B席2,000円 (全席指定)

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GAG団員の大津佐知子は、主人公ロベールと恋に落ちる王女イザベルを、北教之は、ロベールの友人、実はかれの父親である悪魔ベルトランを演じます。

ヨーロッパに中世から伝わる悪魔伝説と、実在のノルマンディー公「ロベール悪魔公」が結びついたこのお話。悪魔の魅力に惑わされ、その子供を身ごもってしまったベルテ姫。彼女が産み落とした、悪魔の子供、ロベールは、その体に流れる悪魔の血脈そのままに、暴虐の限りを尽くし国を追われますが、旅先で出会った、シチリア王女イザベルとの恋、そして、母ベルテ姫の遺言に、次第に神性を取り戻していきます。ロベールの父親、悪魔ベルトランは、そんな彼を地獄へと誘いますが、ロベールは、父への思いに苦しみながらも、その誘いに背を向け、ベルトランは地獄に消えていきます。

悪魔の合唱、妖艶な亡霊たちの乱舞、悪魔の地獄落ちと、スペクタクルとけれん味にあふれたファンタジックな物語は、ショパンをして、「マイアベーアは神の領域に達した」と感嘆させ、感激のあまり、ショパンは、「チェロとピアノのための『悪魔のロベール』の主題による協奏的大二重奏曲」という曲を書き残しました。同じように、リストも、「『悪魔のロベール』による回想、地獄のワルツ」というピアノ曲を書き残しています。

19世紀前半のパリに激震をもたらしたこの作品、あまりに長大な曲であること、先駆性と古典様式のごった煮のような混沌感がぬぐえないことから、ほとんど上演されることのない埋もれた作品でした。(今回の上演も、一部カットした短縮版となります)

しかし、この作品が、その後に生み出されたフランスグランドオペラの主要な作品に与えた影響力は計り知れないものがあります。実際、「この場面はどう考えても『ホフマン物語』だよなぁ」「このキャラクターは『カルメン』のミカエラだよねぇ」「これはどう考えても『ファウスト』だろ」といった会話が、ガレリア座の練習会場では何度もささやかれています。

音域も広く、ヴェルディを彷彿とさせるようなエネルギッシュな男声二重唱もあれば、当時流行だったアカペラによる長大な三重唱、技巧的なカデンツァなど、歌い手にとっては拷問とも思えるような作品。大津演じる王女イザベルにはアジリタを駆使した超絶技巧が試される大きなアリアがあり、また、北が演じる悪魔ベルトランは、ほぼオペラの準主役といっていいような大役で、北にとっては今年最大の挑戦、ともいえる大変な役になっています。

自分の実力をはるかに超える大変なオペラではありますが、日本初演のこの作品の魅力を、少しでも客席に届けるべく、頑張ります!年末のお忙しい頃とは思いますが、皆様ふるってご来場ください!日本でこの作品を見ることができる機会は、おそらくもう二度とないと思われますよ!!

チケットのご用命は、GAG北まで、是非ご一報いただければ幸いです!

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「椿姫」終演いたしました!

10月3日(土)、くにたち市民芸術小ホールで、東京シティオペラ協会「椿姫」上演。GAG団員の大津佐知子がタイトルロールを演じました。

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このところ、カケスとかリスとか、人間以外のものを多数演じておりましたが、今回はゴージャスに装っております。

くにたち市民芸術小ホールは、350名程度の小さなホールですが、小編成オーケストラも収容できるオケピットもある、とてもいいホールです。小ホールでグランドオペラを上演する、という不可能にも近い企画、と、川村敬一先生がパンフレットに書いておられましたが、舞台上に作り上げられた世界はまさに19世紀半ばのパリ。急激な経済発展で都市に集中した富に群がる女たちと、それを金であがなう男たち。そんな虚飾の世界で男たちの欲に翻弄されるヴィオレッタの孤独。演出の原純先生が、くっきりと描き出したヴェルディの情念の世界。

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ちなみにソファ、クッション、燭台、その他の道具はすべて原さんの私物だそうです。どんなお家に住んでらっしゃるの。

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パパジェルモンを演じるのはガレリア座でもパパジェルモンを演じてくださった神田宇士さん。ソフトな美声が見事です。

大津は歌い手泣かせの超難曲をしっかり歌いこなしながら、持ち前の演技力で、死の予感に怯えながら、愛に最後の命の炎を燃やす、オペラの歴史の中で最も有名な悲劇のヒロインの一人を演じきっていました。一幕からヴィオレッタの周りに死の予感が常に漂っていて、それがヴィオレッタの愛への渇望につながってくる。登場した瞬間から破滅への予感を漂わせるナタリー・デッセイの「ランメルモールのルチア」を連想した方も何人かいらっしゃったようです。

別の日記で、演出を中心に北が感想を書いておりますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。↓こちらです。

d.hatena.ne.jp

耳にするだけで陶然とする矢島正明先生のナレーション、多彩な表現力で歌い手を支えて下さる赤塚博美先生のエレクトーン伴奏と、コレペティトゥアの大杉祥子先生。素晴らしいスタッフと素晴らしい共演者に恵まれ、小さなホールがみっしりとしたヴェルディの音楽とドラマで充たされた時間でした。今後も大津の舞台活動は続いていきますが、今後に向けての大きな財産になった舞台だったと思います。

次は11月のアメリカ音楽、12月のマイアベーアと、GAG団員の関係する舞台が続きます。今後ともGAGをよろしくお願いいたします!

大津の出演舞台情報アップデートです

やっと秋めいた気候になり、街中にキンモクセイの香りが漂う季節になってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、1か月ほどご無沙汰してしまったのですが、GAG団員の舞台活動は続いております。今回は、大津の最近の出演予定舞台について、まとめて宣伝させていただきます。以前にも今年いっぱいの出演予定を周知したことがありましたが、ここ1・2か月で決まった舞台もありますので、アップデート、という感じです。

 

★2015年10月3日(土)東京シティオペラ協会「椿姫」で、タイトル・ロールのヴィオレッタを演じます!

前回のこのブログでもご案内させていただきました。まさに練習も佳境に入り、「修道女アンジェリカ」で濃密な舞台を作り上げた原純先生の演出も冴えわたっているとのこと。「ヴィオレッタは可哀そうなのにさらにさらに残酷な演出がついているんだぁ」と、どっぷり落ち込んで帰宅する日もしばしば。バケツ一杯泣けるヴェルディオペラの最高峰。皆様のご来場をお待ちしております!

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★2015年11月24日(火)東京室内歌劇場コンサート「歌でつづるアメリカの音楽史」に出演します!

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以前、GAG公演で、ガーシュインアービング・バーリンなどのアメリカ歌曲を歌った大津。英米歌曲には思い入れもあり、東京室内歌劇場のこの企画のオーディションにトライ。結果、大好きな英米歌曲を歌う機会をいただくことができました。オペレッタとミュージカルの橋渡しとなるような珍しい曲や、フォースターの名曲、黒人霊歌など、アメリカという人種と文化のるつぼの中で生み出されていった様々な音楽の形を楽しめるコンサートになっております。

 

★2015年12月20日(日)ガレリア座 第27回公演 マイアベーア「悪魔のロベール」 イザベル役で出演します!

大津がオペラ活動を始めた場となったオペラ団体、ガレリア座の第27回公演は、日本初演となるフランス・グランド・オペラの嚆矢、マイアベーアの「悪魔のロベール」。大津が演じるイザベルは、このオペラのヒロインにして、コロラトゥーラ技巧も駆使する難役。もう一人のGAG団員の北も、悪魔ベルトラン役で出演します。ちらしなど詳細が決定しましたら、またこのブログで周知させていただきます。

 

★2016年3月2日~6日 東京室内歌劇場スペシャルウィーク「オペラを作ろう!小さな煙突掃除屋さん」に出演します!

毎年せんがわ劇場の空間をファンタジックな音楽世界に塗り替えてしまう、東京室内歌劇場スペシャルウィークのシリーズ、今年は、ブリテン作曲の「小さな煙突掃除屋さん」。大津は、昨年の「子供と魔法」に引き続き、このシリーズへの出演が決まりました。またあの濃密な小劇場の中で、みなさんにお会いできるのを楽しみにしております!

大津の舞台活動も着実に増えており、これも日ごろからの皆様の応援のおかげと感謝しております。皆さんのご支援にこたえるべく、日々精進しておりますので、お時間のある方は是非劇場に足をお運びください!

大津、ヴィオレッタに挑む!

セミの声がかしましい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

GAG団員の舞台活動を紹介しておりますこのブログ、先日のサロンコンサート以降、少し間があいてしまいました。

今回は、10月3日(土)の東京シティオペラ協会「椿姫」のご案内です。

GAG団員の一人、大津佐知子が、ヴィオレッタに挑みます!

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ヴィオレッタ、といえば、数あるオペラのヒロインの中でも最も有名な役の一つ。ソプラノ歌手ならだれもが一度は挑戦してみたい大役。はるか遠い手の届かない憧れの役、と思っていたそうですが、この度オーディションにてこの機会をつかむことができました。

演出は、前回の東京シティオペラ協会公演、「修道女アンジェリカ」「外套」で、密度の濃い美しい舞台を作り上げた原純さん。エレクトーン伴奏の赤塚博美先生、ピアノ伴奏の大杉祥子先生は、東京シティオペラ協会の伴奏の屋台骨。パパ・ジェルモンの神田宇士さん、アルフレードの三浦義孝さんと、立派な体格と素晴らしい声の共演者の中で、サイズ的にはかなり小さな大津ではありますが、全身全霊でタイトルロールに挑んでいます。そして、ナレーションは再び、あの、声優界の生神様、矢島正明先生。

チケットのご用命は、ちらしの連絡先以外にも、下記のGAG連絡先および大津個人あてでも受け付けております。10月3日(土)、お時間のある方は、是非、くにたち市民芸術小ホールまで、足をお運びください!

↓GAG連絡先はこちらです!

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GAGプロデュース「Singspielersのさろん・こんさーとAct2」無事終了いたしました!

相変わらずの溶けるような暑さの中、みなさま如何お過ごしでしょうか?

さて、先日7月26日(日)、このブログでも周知しておりました、GAGプロデュース公演「Singspielersのさろん・こんさーとAct2」が開催されました。

猛暑の中お集まりいただきましたお客様の温かい拍手と、共演者・スタッフのご協力のもと、みっしりと充実した親密な時間を過ごすことができました! 

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前回、オペラ「椿姫」のハイライト・コンサート、ということで第一弾を開催した際、単なるハイライトコンサート、という形ではなくて、少し違う視点からオペラを眺めてみる「レクチャー・コンサート」としての味付けをしてみました。それが結構ご好評をいただいたこともあり、シリーズ化にあたっては、単に歌いたい曲を並べるのではなくて、一つのテーマを決めて、そのテーマに沿って選曲をしていく、というスタイルで臨みました。今回のテーマは「オペラの中の親子の絆」。こんなプログラムとなりました。

 

モーツァルト魔笛」から「パパパの二重唱」

ヴェルディシモン・ボッカネグラ」から「貧しい家のいやしい女が」

❇マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「ママも知る通り」

ヴェルディドン・カルロ」から「一人さびしく眠ろう」

プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」

オッフェンバックホフマン物語」から「歌をやめる?」

 

こうやって並べてみると、どう見ても、出演者の実力をかなり超えた大曲が並ぶ大変なコンサートになったのですけれど、単に歌い手のレパートリーを並べるだけじゃなく、新しいものにも挑戦することに意味があったように思います。上演の録画とか見直すと(自分の舞台の画像見るのって辛いっすね泣)、時々耳を覆いたくなるくらい下手くそなんだけど、それでもやっぱり、こうやってハードルを上げていくことに意味がある気がする。

ご来場者のお一人がおっしゃっていたのですが、「親子」というテーマで統一感は作りながら、ドイツ語あり、イタリア語あり、フランスものあり、と、バラエティを広げられたのもよかったと思います。ナビゲータの原田さんの重くなりすぎない温かなナレーションも、重たい曲が続いたプログラムを軽くしてくれました。次回のプログラムを何にするか、今から色々ネタを考えているのですけど、ナレーションで綴っていくレクチャーコンサート形式、というのは、今後も続けていきたいな、と思っています。

そして何より、今回の目玉になったのが、ベジタリアン理研究家のてっこさんによる素晴らしいお料理の数々!

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 てっこさんには、GAG本公演でいつもお料理を提供していただいているのですが、このサロン・コンサートの企画を案内したところ、「お料理を提供しますよ」とてっこさんからお申し出をいただいたのです。テーブルに並んだいろどり豊かなお料理を見て、歓声とともに、スマホで写真を撮るお客様続出。思わず、「カメラをお持ちのお客様は前へどうぞ」と声をかけてしまいました。

今回のてっこさんのお料理のテーマは、「夏を乗り切る和食の知恵」ということで、お寿司の知恵である「お酢でしめたお米のお料理」として、玄米をワインビネガーでしめたグレインズサラダ、少し油たっぷりの野菜炒めを冷やして固めのパン生地に乗せ、パン生地のカリっとした触感と野菜のジューシーさを味わえるカナッペなど、一度食べたら忘れられない美味の饗宴。主宰者の立場をすっかり忘れて楽しんでしまいました。

「親子の絆」というテーマを思いついた瞬間から、「だったら『ドン・カルロ』のフィリポ二世のアリアを、娘にチェロ伴奏してもらって親子共演で歌おう」と思い立ち、親孝行な娘の「いいよ」というありがたい返事をもらって、実現しました親子共演。

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親ばか発言なのは百も承知なんですが、チェロを始めてまだ3年弱ながら、確かな音程とフレーズ感で、いいチェロを聴かせてくれたと思います。女房には、「孤独な王の苦悩のアリアなのに、至福のアリアに聞こえたぞ」とからかわれましたが。

お料理の後、お酒も入った状態で歌った、高田三郎先生の「くちなし」は、冒頭の歌詞を間違えた上に、録音を聴くと全く歌になる以前の問題で、高田三郎先生に聞かせたらたぶん瞬殺されるような出来。とはいえ、やっぱり歌ってみると沁みる曲で、今回の挑戦を出発点に、何度も挑戦したい曲だと思いました。片づけを手伝ってくれた方が、ずっとこの歌を口ずさみながら椅子を片付けてくれていて、少なくとも「いい歌だな~」と思ってもらえたのかも、と思ったり。

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お開きの前に、お客様全員で「七つの子」を合唱。親子をテーマにした日本歌曲、ということで選んだのですけど、お客様の中には歌い手もたくさんいらっしゃったこともあり、大変分厚い立派な大合唱になりました。

演奏会や舞台というのは、出演者だけじゃなく、そこに集ったお客様も一緒に空気を作り上げるもの。ましてや、マエストローラ音楽院のようなこじんまりした空間を共有する時間は、出演者とお客様が一緒に作り上げる親密な時間です。パンフレットにも書きましたけど、この時間は、出演者とお客様が一緒に作り上げた、いわば子供のようなもの。この子供をさらに大事に育てていきたいと思います。今後とも、「Singspielersのさろん・こんさーと」、何卒ご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます!