「椿姫」終演いたしました!
10月3日(土)、くにたち市民芸術小ホールで、東京シティオペラ協会「椿姫」上演。GAG団員の大津佐知子がタイトルロールを演じました。
このところ、カケスとかリスとか、人間以外のものを多数演じておりましたが、今回はゴージャスに装っております。
くにたち市民芸術小ホールは、350名程度の小さなホールですが、小編成オーケストラも収容できるオケピットもある、とてもいいホールです。小ホールでグランドオペラを上演する、という不可能にも近い企画、と、川村敬一先生がパンフレットに書いておられましたが、舞台上に作り上げられた世界はまさに19世紀半ばのパリ。急激な経済発展で都市に集中した富に群がる女たちと、それを金であがなう男たち。そんな虚飾の世界で男たちの欲に翻弄されるヴィオレッタの孤独。演出の原純先生が、くっきりと描き出したヴェルディの情念の世界。
ちなみにソファ、クッション、燭台、その他の道具はすべて原さんの私物だそうです。どんなお家に住んでらっしゃるの。
パパジェルモンを演じるのはガレリア座でもパパジェルモンを演じてくださった神田宇士さん。ソフトな美声が見事です。
大津は歌い手泣かせの超難曲をしっかり歌いこなしながら、持ち前の演技力で、死の予感に怯えながら、愛に最後の命の炎を燃やす、オペラの歴史の中で最も有名な悲劇のヒロインの一人を演じきっていました。一幕からヴィオレッタの周りに死の予感が常に漂っていて、それがヴィオレッタの愛への渇望につながってくる。登場した瞬間から破滅への予感を漂わせるナタリー・デッセイの「ランメルモールのルチア」を連想した方も何人かいらっしゃったようです。
別の日記で、演出を中心に北が感想を書いておりますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。↓こちらです。
耳にするだけで陶然とする矢島正明先生のナレーション、多彩な表現力で歌い手を支えて下さる赤塚博美先生のエレクトーン伴奏と、コレペティトゥアの大杉祥子先生。素晴らしいスタッフと素晴らしい共演者に恵まれ、小さなホールがみっしりとしたヴェルディの音楽とドラマで充たされた時間でした。今後も大津の舞台活動は続いていきますが、今後に向けての大きな財産になった舞台だったと思います。
次は11月のアメリカ音楽、12月のマイアベーアと、GAG団員の関係する舞台が続きます。今後ともGAGをよろしくお願いいたします!