GAG(Galleria Actors Guild)は、アマチュアオペラ制作集団「ガレリア座」で知り合った大津佐知子と北教之が、1996年に結成した劇団です。二人芝居を中心とした少人数の演劇・朗読劇などを不定期に上演し続け、2013年には第十回公演を開催しました。演劇だけでなく、歌曲なども交えたお茶会などを今後も発表し続けていきます。

大津出演舞台「シンデレラ」のご報告と今後の活動予定

GAG本公演のご報告から、ずいぶんご無沙汰してしまいました。地球の反対側でサンバが盛り上がったり、台風が次々と来襲したり、マリオが安倍首相になったり、色々と盛りだくさんなこの夏、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

さて、ご無沙汰しておりますうちに、GAG団員の大津佐知子の舞台が一つ、無事に終了。そして、先般ご案内いたしました、9月の2つの本番に向けて、いよいよ稽古も盛り上がってきたところです。今日は終演いたしました「シンデレラ」の舞台の報告を中心に、今後の活動予定をざっとご紹介させていただきます。

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王子様役の佐藤圭さんとの二重唱。

渋谷エレクトーンシティで開催された、東京シティオペラ協会公演「シンデレラ」。赤塚博美さんの色彩豊かなエレクトーン伴奏と、金子渚さんのエッジの効いたクラビノーバ、そして、全体を端正にまとめた横山奏さんの指揮と、マスネの音楽の魅力をストレスなく楽しめる素晴らしい伴奏陣に支えられ、大津はタイトルロールの「シンデレラ」を演じました。

よく知られた「シンデレラ」の物語ですが、マスネの音楽は単なるおとぎ話にとどまらず、苦しい現実の中でも、希望を捨てず、夢見る心を忘れないシンデレラの強い意志を陰影深く描きます。愛に餓えた王子の苦悩など、主人公二人の心の内面を深く描きながら、継母とシンデレラの実父のいさかいなどのコミカルなシーンは徹底的にコミカルに。シンプルで分かりやすい日本語訳詞の力も相まって、お子様にも楽しめる充実感あふれる舞台となりました。

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お姫様バージョン。

9月のオペレッタ公演で共演する子役のお嬢様がお母様と見に来てくださって、先日、大津にこんなイラストをプレゼントしてくれたそうです。

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お姫様バージョンの大津シンデレラのイラスト。

「わたしもいつかさちこさんみたいになりたいです」と書いてくれた小さなファンからのファンレターに大津感涙。これからの活動の励みになる、素敵な公演になりました。

さて、2016年の大津の活動予定は、下記のようになっております。お問い合わせなどは、下記のGAGの連絡先まで。

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・9月11日(日)14時~ 於 練馬文化センター大ホール

カールマン作曲「マリツァ伯爵令嬢」(ガレリア座 第28回公演):タイトルロール マリツァ伯爵令嬢

 

・9月20日(火)19時~ 於 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

シャンソン・フランセーズ(東京室内歌劇場コンサート)

 

・11月12日(土)13時30分~ 於 渋谷ラトリエ

「恋と哲学、ときどき妖精」~シェイクスピアゲーテに寄せて~(万年筆女子会コンサートVol.1)

 

・12月23日(祝) 於 自由が丘オペラハウス

オペラになったビートルズ

 

GAG本公演、無事終了いたしました!

一か月以上ご無沙汰してしまいました。いよいよ夏本番、という感じの暑い日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしですか?

さて、このブログでも告知しておりました、GAG第12回公演「星めぐりの旅」、7月3日に渋谷のラトリエにて無事終了いたしました!

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会場でお客様をお迎えする際に投影したスライド

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おかげさまで、客席は満席となりました。

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第一部、「南の島のティオ」朗読のリハーサル中画像。朗読に合わせて投影される長谷部さんのイラストが、物語を色彩豊かに彩ります。

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すっかりおなじみになった第二部「てっこさんのおもてなし」。美味にしてヘルシーな総ベジタリアン料理。

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目にも楽しいお料理の数々です!

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過去の「南の島のティオ」のイラストブックも製作、展示しました。

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そして第三部は、歌姫3人+北によるコンサート。スライドをバックに、小澤佳奈さんの素敵なピアノ伴奏で。これはリハーサルの時の写真。

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第三部の出演者全員で。

 

酷暑にも関わらずご来場くださったお客様と、最後にはみんなで「たなばたさま」の歌を合唱。「数十年ぶりに『たなばたさま』を歌ったわ」と、満足げに笑顔でお帰りになったお客様もいらっしゃいました。温かいお客様の笑顔と、気の合った共演者のみなさん、大津の演出、長谷部さんのイラスト、てっこさんのお料理、受付を手伝ってくれた娘とそのご友人、そしてなにより、渋谷ラトリエのスタッフさんの、発表者の側に寄り添った心地よいサポートのおかげで、本当に気持ち良い時間を過ごすことができました。自分のパフォーマンスには、まだまだ不満もたくさんあるんですが、これだからやめられないんだよねー。

と言い続けて、実はGAG公演、第一回公演が1996年。今回の公演で20周年となりました。20年前、大津と北の二人の朗読芝居からスタートしたこの活動。これからもやりたいことはまだまだたくさん。30年目に向けてさらにさらに前進してまいります。ご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました!またお会いできる日を楽しみに、今後とも、GAGをよろしくお願いいたします!

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ティオ君。まだしばらくお付き合いくださいね。

大津出演舞台のご案内&GAG公演、残席わずかです!

関東地方も梅雨入りし、どんよりした曇り空が続く今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、本日は、この7月から9月にかけての大津の出演舞台の周知&宣伝でございます。

まずは、この7月末。まもなく閉館される渋谷エレクトーンシティでのオペラ公演、「シンデレラ」から。

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大津得意のフランス音楽、ということもあり、マスネの音楽が大津の肌にはしっくりくるらしく、やればやるほど作品への愛着が深まっているようです。大津は、31日(日)のタイトルロール、シンデレラを演じます。色彩豊かな赤塚博美さんのエレクトーン伴奏、ドラマティックなピアノを聞かせてくださる金子渚さんのピアノ伴奏も楽しみです!

 

続いては、9月11日(日)練馬文化センターで上演されます、ガレリア座オペレッタ公演、カールマン作曲「マリツァ伯爵令嬢」。

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「マリツァ伯爵令嬢」を、ガレリア座が上演したのは、今からちょうど20年前、1996年。その時大津は、主人公タシロの妹、リーザを演じ、北はリーザの恋人役のジュパンを演じました。その縁で、GAGが誕生した、という、GAGにとっても大変ゆかりの深い演目。今回、大津は、タイトルロールのマリツァ伯爵令嬢を演じます。歌唱的にも大きな役ですが、恋心に揺れる屈折した心理表現と、何より激しいチャールダッシュのダンスが求められる役柄。練習の翌日・翌々日あたりになるとふくらはぎや太ももを襲う筋肉痛に悩まされながらも、懐かしい音楽に浸る幸福感を楽しんでおります。

そして、最後は、9月20日(火)に、渋谷の伝承ホールで上演される、シャンソン・フランセーズ。

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大津にあてがわれた曲、というのが、実に大津のハートの真ん中を打ち抜く曲で、自分から見つけてくるレパートリーというのも大事だけれど、他の人が、「この曲は大津さんに合っていると思う」と持ってきてくれて、それが本当に自分にとってしっくりきて、これからずっと長くレパートリーとして付き合うことのできる曲だった時の「出会い」感覚、というのも、とても幸せな感覚だと思います。そういうまたとない出会いを楽しめる演奏会になりそう、と、今からワクワクしている日々です。

 

先日周知しました7月3日のGAG本公演も、残席わずか、残り10席を切りました!もしご来場を予定されている方がいらっしゃいましたら、なるべく早めにご連絡いただければと思います。今後ともGAG団員の活動をサポートいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

お久しぶりのGAG本公演ご案内!

大変大変お待たせいたしました!

久しぶりのGAG本公演、第十二回公演のちらしが完成いたしました!

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今回は、GAGでずっとシリーズとして上演しております、「南の島のティオ」朗読パフォーマンスと、北が主宰しておりますSingspielersのサロンコンサートのカップリング。季節にふさわしく、星のきらめく物語や歌曲の数々をお届けします。題して、「星めぐりの旅」。

前半の朗読パフォーマンスでは、前回の朗読パフォーマンスにも登場したカマイ婆が大活躍する、「星が透けて見える大きな身体」。

そして第三部は、やはり星にちなんだ歌曲を、Singspielersの面々でお届けいたします。

おなじみとなりました、ヴィーガン理研究家のてっこさんによるおもてなしを間にはさみ、耳も目も舌も満足いただけるよう、出演者一同頑張りたいと思います。開演時間は13時と少し早目ですので、お昼は軽めに済ませてお越しください!

お茶券(2000円)を事前にご購入いただいたお客様、先着50名様限定となります。早いもの勝ちですよ!

会場は、前回11回公演を開催した渋谷のラトリエ。改装されて少し広くなった会場で、再びみなさんとお会いできるのを楽しみにしております!

お茶券ご購入のご連絡は、下記まで!

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フィックスホールこけら落としコンサート、無事終了いたしました!

 

桜は満開ですが、お花見日和に恵まれない不安定な天候が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

さて、先日このブログでご案内しました、GAG団員出演のオペラコンサート、無事終演いたしました!

 

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 4月3日夜の部出演者のみなさまと集合写真

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4月1日のオペラハイライト、「ランメルモールのルチア」出演者にて。

 1日の夜のオペラハイライトコンサート、3日の昼のガラコンサート、3日の夜のガラコンサート、という3つの演奏会。大津はこのうち、1日のオペラハイライトの一演目「ランメルモールのルチア」と、3日の夜のガラコンサートに出演。北は、3つの演奏会全ての司会進行ナレーションを担当しました。結果、北は、総勢20名以上の歌い手さん達のパフォーマンスをかぶりつきで拝見する、という稀有の体験をさせていただきました。そうなるともう、一つ一つの演目について感想を述べ始めるときりがなくなってしまうので、このブログでは、GAG団員の関わった部分についての感想と、舞台裏の話に絞って書かせていただきます。

北は、以前、東京シティオペラ協会の理事長、川村敬一さんの「冬の旅」全曲演奏会でナレーションを担当。そのご縁で、今回の司会進行を仰せつかりました。基本的にアドリブがあまり上手じゃない人間なので、自分の喋る内容は全て原稿に書き起こすのが、北のスタイル。曲順や全体の流れをヒアリングし、演奏されるオペラや歌曲の背景を調べ、歌い手さんや主催者から「こんなことも言ってほしい」と伺ったご要望などを盛り込み、原稿を作っては、それをフィードバックし、という作業を繰り返しました。

 準備周到で仕事が丁寧、といえば聞こえはいいんですが、主催者からすると、逆に、「書いたものをただ読み上げるだけの退屈なナレーションになっちゃうんじゃないか」と不安をあおる結果になったみたいで、直前の3月31日になって、「なるべくアドリブを入れて、ただ原稿を読むだけにはしないでくださいね」という注文が入る。なので、ギリギリになって、「こういうことも適当にしゃべってみるかな」なんていう「ネタメモ」を原稿の余白に書きなぐって臨む。ネタメモの中には、本番当日のリハーサル中にネットで検索して調べたネタや、その場の演奏を聞きながら、「この演奏だったらこういうこと言ってもいいかも」と思いついてその場で書き込んだものも。

 

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こんな感じです。

アドリブであっても喋っている文章に破綻をきたさない一流の司会者と違い、やはりところどころ、文法的におかしな文章や、オチがうまくつかなかったくだりなど、「しまった、やらかした」と思う瞬間は多々ありました。でも、パフォーマーの皆さんの熱のこもった質の高い演奏で会場全体の熱がぐっと高まった中、多少しどろもどろになっても大目に見ていただける空気が醸成されていたおかげで、なんとか務め上げることができたかな、と思います。

 家族ネタで受けたのは「禁じ手」として、個人的には、アドリブで盛り込んだ「ウンチク」話にお客様がふむふむと頷いてくださったり、「へぇ」と声を上げてリアクションしてくださったりするのが本当に嬉しい。3日のガラコンサートの夜の部、角地正直さんのお子さんネタや、神田宇士さんの高校教師ネタなどもメモだけを頼りにしたその場のアドリブだったんですが、ちょっと調子に乗りすぎた部分はあるとはいえ、お客様は結構喜んでくださったみたいで、とにかく温かな優しいお客様に感謝するばかりです。

 さて、もう一人のGAG団員の大津は、1日のハイライトで、宿願ともいうべき「ランメルモールのルチア」に挑戦。一幕のアリア、二重唱、そして超難曲の「狂乱の場」を歌い切りました。

グルベローヴァナタリー・デセイネトレプコなどが伝説的な名演を残しているこのルチアへの初挑戦に備え、師事する高橋薫子先生(日本有数のルチア歌い)の指導を仰いだそうですが、一声歌っては「違う」「ダメ」「違うって言ってるでしょ」と、いつになったら最後までたどり着くのだろう、とめまいのするような日々だったそうです。北の師匠の立花敏弘先生が、「薫子先生はなかなか前に進ませてくれないけどね、それで途中で挫折しちゃだめ。最後までたどり着いた人だけが生き残る」とおっしゃっていて、まさに、一つ一つの歩みを確かめながら断崖絶壁を上っていく、途中であきらめたら落ちていくだけ、というギリギリの作業。

 「一週間1万円で暮らしましょうって言っている人が、いきなり月曜日にフルコースでステーキ食べるの?それじゃ週末にはごま塩ご飯になっちゃうでしょうが!」(だからペース配分は大事)といった、薫子先生特有の温かいユーモアあふれるレトリックと、目の前で歌ってくださる見事なお手本歌唱を支えに、なんとかたどりついた本番当日。フルートとの掛け合いを中心とした緊張感あふれるクライマックスに向けて、一つ一つの音符を正確に踏みしめていくプロセスは、フィギュアスケートや体操の一連の演技のような緊張感に満ちていて、お客様もその緊張感をしっかり共有してくださり、一期一会の高密度の空気と時間を作り出すことができました。

 3日のガラ・コンサートで大津が挑戦したのは、メノッティ作曲「領事」。国外への亡命を望みながら、官僚制度の厚い壁に阻まれて破滅していくヒロインのアリア「このために私たちは来ているの」は、今まさに世界を揺るがしている、欧州になだれ込むシリア難民の悲劇にも共通する、時代を超えたテーマを持っています。

実は、演奏前の曲紹介のナレーションで、「書類がなんだっていうの?私の名前はマグダ、年齢は33歳、仕事は待つこと」と、北が歌詞の一部を紹介したのですが、直前のリハーサルを聞いて、「一番耳に残る部分の歌詞の日本語訳に変えようか?」と大津に相談しました。すると、大津は、「それだとネタバレになっちゃうからいい」と。自分の英語歌唱で、歌のメッセージをしっかり客席に届けたい、という意思表示でした。そのくだりの歌詞は、リハーサルと本番と2回しか聞かなかった北の耳にしっかり残っています。客席にも間違いなく届いたと思いますし、同じ慟哭が、今まさにトルコやギリシアで鳴り響いているのだと思います。

  

My name....is woman.

Age...still young.

Color of hair...gray.

Color of eyes....color of tears.

Occupation...waiting...waiting...waiting,waiting,waiting,WAITING!!

  

フィックスホールの親密度の高い空間で、英語、という多少馴染みのある言語であることも手伝って、プロテストソングとしての性格も持つこのアリアの普遍的なテーマが、一人一人のお客様の心にしっかり届いた手ごたえがありました。

 調布という、我々の地元に生まれたこのフィックスホール。最大客席数150席、というこじんまりした空間ながら、コンクリートの打ちっぱなしの内装とアーチ型の天井、解放感あるロビーなど、非日常的な「ハレ」の空間としての魅力の詰まった素敵なホールです。このホールの出発をお祝いする演奏会をお手伝いできたことは、GAG団員の二人にとって大きな財産になりました。今後のこのフィックスホールの発展を祈りつつ、GAG団員はまた、次の舞台に向けて進みます。ご来場いただきましたお客様、共演者のみなさま、素晴らしい時間を、ありがとうございました!

4月1日・3日のコンサート周知です!

いよいよ桜の開花のニュースが流れ始めました。また花冷えの予報も出ていますので、みなさま、お花見には厚着でお出かけくださいね。

さて、本日は、GAG団員の二人が出演する4月の演奏会の告知です!

まずは、4月1日(金)、仙川で開催される、オペラハイライトコンサート。

大津が、長年一つの目標としていた「ランメルモールのルチア」に挑戦!

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会場となる仙川フィックスホールは、以前、仙川アヴェニューホールという名前でした。米国から帰国後初めて、大津がソロ・リサイタルを開催した思い出のホールでもありました。

しばらく諸事情により閉館していたこのホール、この4月から、運営会社が(株)サウンドフィックスに代わり、フィックスホールという名前に生まれ変わって再出発。そのこけら落としコンサートを、サウンドフィックスに縁が深い東京シティオペラ協会が企画。このオペラハイライトコンサートは、その第一弾となります。

大津は、いつか挑戦したい、と言い続けていた「ランメルモールのルチア」に挑戦。第一幕のアリア、エドガルドとの二重唱、そして、「狂乱の場」を歌います。「狂乱の場」では、フルートとも共演。思い出のホールで、宿願成就、というところですが、やはり一筋縄ではいかない難曲。高いハードルを越えられるか、日々試行錯誤を続けております。

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先日あった本番会場での音確認。立ち位置やピアノとのバランスなどを確認しました。

続いて、4月3日(日)に、昼の部、夜の部、と二部構成で開催される、オペラガラコンサート。大津は、夜の部で、メノッティ作曲のオペラ「領事」から、ヒロインのマグダのアリア「このために私は来ているの」を歌います。

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昼の部のチラシ

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夜の部のチラシ

仙川フィックスホールの門出を祝うために集った歌い手、総勢なんと23名が、自慢の歌声を競うこのガラコンサート。大津が歌うメノッティの「領事」は、国外への亡命を望みながら、官僚機構の厚い壁に阻まれ、出国の希望がかなえられぬままに、貧しさの中で破滅に向かっていくヒロインの絶望の物語。米国への亡命を望みながら煩雑な手続きに疲弊して自殺してしまった実在の女性の報道に接したメノッティが、自身もイタリアからの移民であった経験から、義憤と同情をこめて書いたオペラ。書類を意味する「Papers!」を連呼しながら、怒りと絶望をたたきつけるような激しいアリアを歌います。

さて、GAGのもう一人の団員、北は、チラシをご覧になってお分かりの通り、1日のハイライトコンサート、3日の昼のガラコンサート、夜のガラコンサートと、「ご案内役」ということで、司会進行を務めます。1日のハイライトコンサートでは、日本声優界の至宝、矢島正明先生が語り役を務められる、新作オペラ、「破約」(ラフカディオ・ハーン原作、川手誠作曲)が上演され、北としては、ナレーションの神様の前で何をどうやればいいのやら、という感じではあるのですが、演者のみなさんのお邪魔にならないように、精いっぱい努めたいと思っております。

新しい名前で再出発することとなった、仙川の音楽の発信基地、フィックスホール。その出発の場に、皆さんも立ち会ってみませんか?チケットのご用命などは、下記まで!

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3月初旬のGAG団員出演舞台、無事終演いたしました!

先日告知いたしました、GAG団員出演舞台、無事終演いたしました!

 

まずは、大津出演の舞台、オペラを作ろう!「小さな煙突そうじ」のレポートから。

大津は、第一幕・第二幕では、劇団員ブルース、第三幕では、煙突そうじのサムを助けるブルック家の長男、ゲイ・ブルックを演じました。

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第一幕・第二幕、劇団員ブルースくん

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第三幕、煙突そうじの少年サム役の植木稚花さんと、ゲイ・ブルックくん

第一幕と第二幕では、劇団員たちが、オペラ「小さな煙突そうじ」を作る、というオペラ制作の舞台裏のお話を、音楽のほとんどないストレートプレイとして見せ、そこで聴衆も一緒に参加する合唱の練習をし、そして、第三幕のオペラ本編となる、という、二重三重の仕掛けを持ったこの舞台。

日本では、演劇、という舞台表現が、歌舞伎から派生、あるいは海外から輸入されたとしても、あくまで歌舞伎のアンチテーゼとして発展したという土着性を持っている一方で、オペラという舞台表現はもともと国内に根っこがない、西洋から輸入された外来のもの、という、全く別の発展史を経ているためか、それぞれの教育システムの間にあまりに交流がない感があります。演劇表現を学ぶプロセスで歌唱技術の訓練プログラムはほとんどないし、オペラ表現を学ぶ過程では、演技表現を学ぶプロセスが非常におろそかにされている感がある。結果的に、オペラ歌手の方々の演技、というのは、どんなに演技が上手と言われている人でも、どこか素人っぽさが抜けないもの。舞台表現、Stage Performance、という言葉で同じカテゴリーで共に発達してきた、欧米の演劇とオペラの関係に比べて、日本のそれはあまりにも距離がありすぎる。もっとうがった見方をすれば、西洋文化の象徴としてのオペラを、歌舞伎や大衆演劇に根差した演劇という表現よりも高位に置きたがるような、不思議な「階級意識」すら感じることがあります。

そんな日本で、ブリテンのこの作品を上演するのは相当難易度が高いと思われましたが、演者の皆さんの大熱演と、せんがわ劇場、という、ある意味観客と演者が一体になりやすい劇場の力、飯塚励生さんのエネルギッシュな演出のおかげで、全体の流れはとてもスムーズだったと思います。

そして、何よりも、音楽のクオリティの高さ。子供の音楽教育を念頭に書かれたオペラでありながら、ブリテンの音楽はオーケストラ伴奏を中心に極めて雄弁で、子供や聴衆が歌いやすい覚えやすいメロディーだけでなく、時々胸をえぐるような情感や痛烈なメッセージを秘めていたりする。北は、幸運にも、「ジャンニ・スキッキ」に始まる東京室内歌劇場のせんがわ劇場のシリーズを全部拝見しているんですが、今回の舞台はその中でも、アンサンブルのレベルが非常に高かった気がします。特に子供たちのアンサンブルは、煙突そうじの少年を煙突から引っ張り出すシークエンスや、おふろの合唱といった祝祭的な部分、さらに、煙突そうじの少年の境遇に同情するリリカルなアンサンブルなど、表現のダイナミクスの大きさとくっきりした輪郭で、実にコントラスト豊かに表現されていて、フィナーレの底抜けに祝祭的な雰囲気に、北は思わず涙が出そうになりました。

子供たち、あるいは劇団員のリーダー格となる男役を演じた大津は、GAGで何作かのストレートプレイや朗読劇に出演したこともあり、オペラ歌手としては演劇的なスキルの高い部類に入ると思います。とはいえ、ブリテンの原作自体が、子供が演じることを前提として書かれた作品ということもあり、個々の子役の個性があまりはっきりと描き分けられているわけではありません。役作りにあたっては、大津なりに、「イギリス上流階級の長男として生まれた13歳の男の子が、貧しい労働者階級の子供が置かれている境遇を知った時、どんな表情をするか、どんなふるまいをするか」と自問自答しながら取り組んだそうです。共演者の皆さんにも恵まれ、生まれて初めてノブリス・オブリージを学んだ男の子の姿を演じ切りました。

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 煙突の中に閉じ込められたサムくんをみんなで救い出そうとするシーン。

 

一方、もう一人のGAG団員、北は、ベースの一員として参加する府中の混声合唱団「麗鳴」の定期演奏会に出演。ベースの一員として歌うだけでなく、演出付きステージ、三沢治美編曲の懐メロメドレー「LOVE」の演出、及び演者として出演しました。

民謡を素材とする合唱曲のステージ、三善晃「地球へのバラード」、萩原英彦「白い木馬」という、昭和を代表する合唱曲の抜粋、そして、懐メロメドレー、さらに、平成を代表する合唱作曲家、千原英喜の新作「心が愛にふるえるとき」と、実に盛りだくさんなステージ。入場無料ということもあり、「ちょっと近くを散歩していて立ち寄りました」なんていうお客様まで含めて、会場は400人以上のお客様でほぼ満席状態となりました。このブログでは、特に印象に残った2つのステージを取り上げてレポートしたいと思います。

まずは、北が演出を担当した「LOVE」。取り上げられた懐メロは、「ゴンドラの唄」「東京ブギウギ」「恋のバカンス」「瀬戸の花嫁」「夜明けのスキャット」「喝采」「どうにもとまらない」「愛燦々」。

1960年代から70年代の、愛をテーマにした懐メロ、ということで、演出を考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのは、黒澤明の「生きる」で、志村喬が公園のブランコに乗って、しみじみと歌う「ゴンドラの唄」。そこで、ブランコを舞台上に設定してみたいな、と思った時に、鉄拳さんの名作アニメ「振り子」が思い浮かびました。ブランコを一つの軸にして、人生を描いてみるってのはどうだろうか、と。

 「ゴンドラの唄」で、昔の懐かしい日々を思い出した老人たちが、「東京ブギウギ」で、死別した愛する人との出会いを思い出し、「恋のバカンス」「瀬戸の花嫁」「夜明けのスキャット」でその愛の日々を追体験。そして、「喝采」で悲しい別れを思い出す。自暴自棄になった「どうにもとまらない」を経て、現代に戻り、「愛燦々」で、再び明日に向かって歩み出す・・・という流れを思いついて、鉄拳さんの「振り子」が残酷な時の流れを象徴していたように、ブランコが最後に未来に向かって伸びる輝く道になる、という絵が浮かんで、演出の基本線が決まりました。

あとは、団員さんの群舞の中に、何かしら統一した小道具を使えないか、と思って、思いついたのが、扇子。娘の学校の体育祭の応援交歓で、毎年素晴らしいマスゲームを見ることができるのだけど、ある学年が、同色の扇子をぱっと開いたり閉じたりする演出をしていたことがあり、これがすごく印象的だったので、一度使ってみたいと。

 そうやって作り上げたステージ、演奏会終演後、編曲の三沢先生には、「楽しそうでいい演奏でしたけど、演出はちょっと意味がよく分かりませんでした」と、かなり厳しいお言葉もいただいてしまい、演出意図が客席に十分伝わったとは言えなかったかも、と反省しきり。ただ、団員さんたちの協力、共演者の皆さんの奮闘、あと、「夜明けのスキャット」で演者たちが見せる印象的なダンスを振付けてくれた、ガレリア座の振付師、藤井明子さんのご協力もあって、何より団員さんたちが楽しく舞台を作ってくれました。その楽しさは、十分客席に伝わったようです。

そして、もう一つのステージは、何と言っても千原英喜先生の新作「心が愛にふるえるとき」。千原先生の作品は、以前お世話になった大久保混声合唱団の「ラプソディ・イン・チカマツ」を聞いた時、鳴り物や義太夫などのケレン味よりも、底流に流れ続ける豊饒な和音の響きに感動して、一度しっかり歌いたい、と思っていたのでした。今回、指揮者の中館先生が、「この曲は麗鳴に合っていると思う」と持ち込んできたこの「心が愛にふるえるとき」は、鳴り物も、邦楽の手法も一切なく、非常にスタンダードな合唱曲。でもそこに綴られている和音や、変則的なリズム、あるいは大陸のメロディーは、これまでの千原作品にあった東洋と西洋を音楽で融合させるアプローチと無縁ではありません。そして語られる五木寛之の詩のテーマは、まさに、日本海を隔てた大陸と日本に引き裂かれた運命を、飛び越えよう、思いをつなごうとする望郷と愛の物語。

「日本海を歌った部分もありますけど、日本海よりももっと広い大海原を感じてほしいんです。鑑真が大陸から日本に渡ってきた時に彼が越えてきた南シナ海の波とかね。そういうスケールの大きい音楽を作ってほしい」

お忙しい中、本番直前のリハーサルに付き合ってくださって、本番も最後まで聞いてくださった千原先生が、リハーサルの際におっしゃっていたお言葉。今回の演奏会の大きなテーマである、「故郷」と「愛」を、地球スケールで描き出した素晴らしい曲でした。

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 リハーサルで、千原先生と一緒に全体写真

 

さて、3月の本番も終わって、息つく間もなく、次は4月冒頭の本番が控えています。4月の舞台では、大津が歌を、北がナレーションを担当。詳細については別途、このブログでご案内していきます。今後ともGAG団員の活動をご支援賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします!